運動とは何だろう⁉
皆さん、日頃から運動をしていますか?

聞き慣れた質問だと思います。
しかし多かれ少なかれ運動とは何を指しているのかと疑問に思った人はいるのではないでしょうか。
その疑問に答えるために、定義・種類・効果に分けて説明したいと思います。

う~ん、、、息が上がるぐらい動かないと運動とは言わないのかな?

そのようにイメージされる人は多いと思います。
しかし運動にも強度が低い活動から高い活動までさまざまです。
息が上がらなければならないという訳ではありません。
一般的なストレッチも運動になります。
運動の定義は何だろう!?

身体活動の一部で、スポーツやフィットネスなどの、健康・体力の維持・増進を目的として計画的・定期的に実施する活動
健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023ー厚生労働省より引用
まず上記引用文より運動は身体活動の一部になります。
身体活動とは安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する全ての動作です。
要するに、『楽に座っている、寝ている』以外の動作です。
また、身体活動は【運動】と【生活活動】に分けられます。
【運動】とは、健康・体力の維持・増進の一役として、余暇時間や自分時間においてスポーツやフィットネス等をすることです。
例えば、学業における体育、クラブ活動や部活動、社会人スポーツ、武道など上げると 枚挙にいとまがない です。
【生活活動】とは、言葉の通りで生活環境の中で起床から就寝まで行われる運動以外の活動です。
上記にあるイラストは、私が描きました。
それぞれを蛇口から出る水【生活活動量】、井戸ポンプから出る水【運動量】それらが溜まった水【身体活動量】で表しています。
それぞれが活動することで水が排出されます。
年齢や活動する内容等で出る水量に個人差があります。

毎日、ストレッチすれば運動していることになるんですね!

そうなりますね。
しかし運動効果に関しては有効限界と呼ばれる下限があります。
下回ると効果はありません。

ストレッチでは足りないかなあ。

ストレッチだけでも、一般的な安静な状態で行うパターン、ブラジル体操のような動きながら行うパターンと種類の幅が広いため、一概にストレッチだから、運動量が足らないとは言えないです。
また、低い場合でも生活活動量が高く充足できれば良いと思います。
下記において、運動と生活活動を具体的にお伝えします。
具体的な生活活動と運動について
具体的にどんな活動が生活活動や運動に含まれるのか、それぞれ生活活動と運動に分けて説明します。
具体的な生活活動とは?
以下に生活活動の具体例を記載します。
をクリックすると開きます。
生活活動が指す具体的な内容はご理解できましたか?
箇条書きで整理された内容をみると、大部分の人が想像通りと納得しやすいのではないでしょうか。
生活活動を細かく分類することで、体をどれくらい動かしているかがよくわかるようになります。
たとえば、「生活活動」と一口に言っても、炊事や掃除、通勤・通学、仕事の中でも内容によって体の動かし方はさまざまです。
こうした生活の中で自然に行っている動作を分類していくと、それぞれの活動の“運動量”を比べることができます。
生活の中の行動を分けて見ていくと、「これはけっこう体を使っているな」「これは座ってばかりだな」など、普段意識していなかった“体の動かし方”がはっきりとわかるようになります。
たとえ運動をしていなくても、生活の中にあるこうした動き(生活活動)を少し意識して増やすだけで、健康づくりにしっかりつながります。

生活活動量の多い仕事の例えを挙げますと、江戸時代に配達の手段として『飛脚』がありました。
彼らは、一日に約十~数十キロを徒歩や走りで配達していたそうです。
他にも現代に引き継がれている『歩荷』があります。
彼らは自動車等が入れない山岳地帯において約数十キロ、多い時は百キロを超える荷物を背負い、徒歩で山小屋に荷物を配達しています。
そして、人力車の車夫や建設業、運送業(引っ越しや配達)等の肉体労働も活動量が多くなる可能性が高いです。
具体的な運動とは?

皆さんが思い浮かべる運動の例は、おそらくこの一覧の通りではないでしょうか。
ただし、この中にある「生涯スポーツ」という言葉については、初めて目にするという方も少なくないかもしれません。
「生涯スポーツ」とは、年齢や性別、体力に関係なく、誰もが一生を通じて楽しむことができるスポーツのことです。
例えば、テニスやゲートボール、グラウンドゴルフ、ウォーキングなどがこれにあたります。
競技スポーツのように勝ち負けを目的にせず、楽しさや健康のために無理なく続けられるというのが大きな特徴です。
このような「生涯スポーツ」の考え方は、近年とても注目されており、健康寿命の延伸や地域のつながりづくりにも役立つとして、行政や教育現場でも推進されています。

現代ではスポーツの裾野も広がり、老若男女や身体が不自由な人が参加できる競技が増え、普及もしてきています。
そしてそれらを含む運動をサポートするツールは、過去から現在にかけて 枚挙にいとまがない ほどあります。
例えば、家庭用ゲーム機で遊べる体感型スポーツゲームがあります。
過去であれば1986年バンダイから発売された専用マットを使用したファミリートレーナー。
そして、コナミから発売されたダンスダンスレボリューションなどがあります。
現代は任天堂switchのリングフィットやニンテンドースイッチスポーツなど家庭内でもゲーム感覚で運動が行えます。
またスマートフォンアプリにウォーキングアプリがあります。
歩数計側とゲームがリンクして行える、または、歩数計側でポイントが授与され商品と交換できるなどがあります。
運動だけでなく、モチベーション維持にも寄与しています。

身体活動量を知るためには、冒頭にある”日頃から運動していますか?”という質問だけでは不十分ですね。

そうですね、生活活動の質問もした方が良いですね。
しかし身体活動における情報が世間に広まっていないので、説明が必要ですね。
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運動にはどのような効果があるのか?
運動の効果について、メリットとデメリットに分けて紹介します。
前提知識として、以下に紹介する効果は運動すれば必ず全て得られるわけではありません。
曖昧な言い方になりますが、長期的な継続が必要です。
一度でも運動を行えば、少なからず変化が身体の中で起きますが、 一朝一夕 で得られるものではありません。
運動を行うメリットとは?

運動を行うことで得られるメリットについて「身体面」「精神面」の二つに分けて説明します。
実際は双方ともに相互に密接な関係にあります。
以下の+をクリックすると詳細が見られます。それぞれの用語の概念を記載しています。
運動による身体面への効果
運動をすることで、身体に起こる効果を紹介します。
「体力」とは、人間が生活していくために必要な身体能力を指します。
有名な概念に、猪飼・江橋(1965)の「体力の構成」があります。
大きく身体的要素と精神的要素に分類されます。
ここではそのうちの身体的要素に限定して、運動による効果を説明します。
身体的要素には2つの柱があり、「行動体力」「防衛体力」と言います。
行動体力は、私たちが日常生活や運動・スポーツを積極的に行うための身体能力を指します。
これはさらに以下のような基礎的運動能力を含んでいます。
能力 | 内容 | 運動による効果 |
---|---|---|
筋力 | 物を持つ・支える力 | 筋トレや体重負荷運動で強化される |
持久力 | 長時間動く能力 | ウォーキングやランニングで向上 |
敏捷性 | 素早く反応し動く能力 | 球技やアジリティ運動で養われる |
平衡性 | バランスを取る能力 | 体幹トレーニングや片足立ちなど |
柔軟性 | 関節の可動域の広さ | ストレッチやヨガで向上 |
運動を継続することで、これらの能力がバランスよく向上し、転倒予防や生活動作の向上、疲れにくい体づくりに繋がります。
「防衛体力」とは、病気や外部環境に対する抵抗力や身体の内部調整機能を指します。
運動は以下のような点で防衛体力を高めると考えられています。
項目 | 運動の影響 |
---|---|
免疫機能 | 適度な有酸素運動で免疫力が高まる(風邪をひきにくくなる) |
自律神経機能 | 運動によって交感神経と副交感神経のバランスが整う |
心肺機能 | 有酸素運動によって呼吸循環機能が向上し、疲れにくくなる |
代謝機能 | 筋肉量増加による基礎代謝の向上、糖や脂質の代謝改善 |
特に高齢者や生活習慣病の予防において、防衛体力の維持・向上は極めて重要です。
運動は、体を動かす能力(行動体力)と、病気や環境に負けない力(防衛体力)の両方を高める働きを持っています。
これらの体力が向上することで、私たちは日常生活をより快適に、健康的に送ることができるようになります。
運動能力の領域は、上位の領域から順に、 スポーツ技能 、 基礎的運動能力 、 基礎的運動要因 、 身体の構造と諸器官の機能 から構成される。
厚生労働省「新体力テスト」のよりよい活用のためにより引用
運動パフォーマンス の前提として、「 主に情報系 」と「 主にエネルギー系 」に分けられた様々な運動能力が一体となってパフォーマンスを構成する。
運動能力は、スポーツ技能を頂点に、「基礎的運動能力」「基礎的運動要因」「身体の構造と器官の機能」の4層で構成されており、運動を継続することでこれらが段階的に高まります。
また、運動パフォーマンスは「情報系(判断・反応)」と「エネルギー系(筋力・持久力など)」の複合によって成立します。
運動習慣はこれら双方の能力に働きかけ、総合的な運動能力の向上を支えます。
「競技力は、身体性・知性・感性という3つの能力を構成契機とするスポーツ構造によって規定される」
内山治樹「競技力の概念的把握への方法序説」より引用
「競技(スポーツ)」には、あらかじめ決められた『動き方』や『判断の仕方』『感じ方(美しさ)』のパターンがあります。
これらは競技ごとにシステムとして成り立っており、プレーヤーはそれに自分の能力を合わせていきます。
つまり、【スポーツの本質は個人の自由な運動ではなく、競技の中で意味を持つ“動きの型”を身につけること】にあります。
他競技(スポーツ)や運動遊びを行うことは、身体性にどんな効果がありますか?
スポーツ(競技)には、その競技ならではの「体の使い方」「考え方」「感じ方」があります。
でも、そうした“競技らしさ”を身につけるには、いきなり専門的な練習だけをしても足りません。
なぜなら、まずは「いろんな動きを知っている」「体を自由に使える」「工夫できる」という運動の土台が必要だからです。
運動遊びや他の競技を経験すると、『走る・投げる・跳ぶ・考える』などの基本的な動きや感覚が身につきます。
それがやがて、ひとつの競技に取り組むときに、「あ、この競技はこう動けばいいんだ」と自然にわかる感覚や応用力になります。
つまり、競技らしさを理解し、身につけていくためには、その前にいろんな運動体験をしておくことがとても大切になります。
運動による精神面への効果
運動をすることで、精神面に与えるメリットを紹介します。
個人が自身の能力を発揮し、生活における通常のストレスに対処し、生産的かつ有意義に働き、地域に貢献することができるような満たされた状態(well-being)
メンタルヘルスアクションプランより引用
体の健康ではなく、こころの健康状態を意味します。体が軽いとか、力が沸いてくるといった感覚と同じように、心が軽い、穏やかな気持ち、やる気が沸いてくるような気持ちの時は、こころが健康といえるでしょう。
厚生労働省、メンタルヘルスとはより引用
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運動を行うデメリットとは?

運動による身体面への悪影響とは?
運動をすることで身体に起こる悪影響について記載します。
運動やスポーツは常に、ケガをするリスクがあります。
外傷
一回の外力によりケガをすることを指します。
ジャンプの着地・切り返しの動き・接触・転倒などで起こります。
例えば、捻挫や打撲、骨折などがあります。
障害(筋骨格器系)
繰り返しの外力により、ケガをすることを指します。
例えば、疲労骨折やシンスプリントなどがあります。
成長期、更年期、老年期、女性周期にはより注意が必要です。
ケガは、一過性、一時的な運動能力低下のリスクもあります。
過度な運動や急な運動の中止、適切な栄養補給や休息(生活習慣、運動前・中・後)等が取れていない場合に症状が出る可能性があります。
運動誘発性胃腸症候群
過度な運動により、筋肉への血液の供給が増え、消化器官への血流が減少(虚血)します。そして交感神経が亢進することなどが関係しあい、腸内細菌のバランスや免疫、消化器機能に影響を与え、様々な症状を呈するとされています。
しかしはっきりと明らかになっているわけではなく、今後も研究が必要です。
運動による精神面への悪影響とは?
運動をすることで、精神面に与えるデメリットを紹介します。
運動やスポーツによる過度な負荷やプレッシャー(自己や周囲)による疲労やストレスは、心身に悪影響を来します。
オーバートレーニング症候群
疲労は、適切な休息や睡眠などの対処をすれば、回復します。
しかし回復が間に合わず、継続して過度な運動やスポーツによる負担が蓄積されると、心身が疲弊し様々な症状を呈します。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございます。
「運動とは何か」についてご理解いただけたでしょうか。
運動が含む活動は、上記で説明した通りとても広いです。
運動には多様な実施方法や環境があります、その中から自分に合った方法や環境の運動を選択していただくと良いと思います。
なぜなら自分のために行う運動だからです。
これは「運動」という言葉のイメージに関する考え方です。
「運動をする=疲れる」と強調した感情を持ってしまうと、運動に対するモチベーションの維持は難しいです。
運動は疲れることは事実ですが、それよりも「楽しさや達成感、幸福感など」を得られるというポジティブな考えが非常に大事になります。
しかし実際の運動には、量(回数や時間など)や質・休養・食事などが含まれ複雑になります。
計画の立て方や心身の状態の評価は大切で、前記のデメリットにつながる可能性があります。
運動に対してモチベーションが上がらない、身体が重くて疲労が取れない、痛みがあるなどは、運動の見直しが必要かもしれません。
もっと大きく見れば生活を見直す必要もあるかもしれません。
運動が惰性にならぬように、定期的な評価や変更は必要です。
専門家に聞くことも良いと思います。
元気に楽しく運動しましょう。
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